喪中はがきを出したくても、出す時期や書き方が分からない、という方は多いのではないでしょうか。喪中はがきは出す機会が限られるため、一度きちんと調べない限り、マナーを守った対応をするのは難しいものです。この記事では、喪中はがきを出す目的、構成、書き方のマナー、例文など、喪中はがきを出す時に知っておきたい情報を網羅的にご紹介します。
喪中はがきを出す目的:喪中であることを知らせるため
喪中はがきを出す目的は、「喪中のため年賀状を控える」ということを知らせることです。
「喪中」とは、亡くなった人を偲ぶ期間のことを指します。喪中の期間は、宗教や宗派、個人によって異なりますが、一般的には、忌明け(四十九日)を過ぎた半年から一年程度といわれています。
喪中はがきの正式名称は「年賀欠礼状」です。例年年賀状をやり取りしている相手に、年賀状を辞退する旨を伝える役割があります。従って、あまり早くに送りすぎても意味がなくなるため、注意が必要です。
喪中はがきの基礎知識
ここでは、喪中はがきにまつわる以下の5つの基礎知識について解説します。
喪中はがきを出す時期:11月中旬から12月の初旬までに届くように出す
喪中はがきを出す前提として、「年賀欠礼の挨拶をする」という目的があります。そのため、先方が年賀状の準備に入る前に喪中であることを知らせないと、行き違いで年賀状を受け取ってしまい、先方にかえって気を遣わせてしまう可能性があります。そのため、一般的に、年賀状の準備に取り掛かりはじめる11月中旬から12月の初旬までには届くように出すのがマナーです。12月15日が年賀状受付開始日のため、これが喪中はがきを送る期限の目安となります。
なお、万が一12月15日までに届くように準備ができない場合は、喪中はがきを年賀状の返信として出すか、松の内以降に寒中見舞いとして送ります。
喪中になる親族の範囲:一般的には二親等まで
宗教や宗派によって異なりますが、一般的には故人を中心とした両親、配偶者、子の一親等と、兄弟姉妹、祖父母、孫の二親等までが喪中になる親族の範囲とされています。故人との関係性によっても異なりますが、喪中の期間は亡くなった日から約1年間です。なお、最近では故人と同居していたか否かで喪に服するかどうかを決める人もいます。
喪中はがきを送る相手:喪中でなければ年賀状を出したかった相手に送ろう
喪中はがきは、誰彼構わず出せばよいというものではありません。基本的には、喪中でなければ年賀状を出していた相手に出すようにしましょう。喪主の場合は、故人が年賀状をやり取りしていた方、故人の葬儀に参列してくださった方にも喪中はがきを送りましょう。その他、仕事関係で故人の葬儀に参列してくださった方にも、お礼の気持ちを伝えるために喪中はがきを送ります。なお、公私を分ける意味で、ビジネス関係の方には例年通り年賀状を出す場合もあります。
喪中はがきの構成:挨拶文・故人の情報・結びの言葉などを記載しよう
喪中はがきは基本の構成が決まっています。書くべき内容は下記のとおりです。
- 喪中につき年末年始のご挨拶を遠慮する旨を伝える挨拶文
- 喪中であることの説明(誰がいつ何歳で亡くなったのか)
- 結びの挨拶(生前のお礼や挨拶など)
- 日付
- 住所氏名
上記の構成を守って、情報の抜け漏れがないように喪中はがきを書きましょう。なお、喪中はがきは弔事に関するお知らせなので、華美なデザインの使用は避け、イラストなどは落ち着いた色を選び、色の数も最低限に抑えましょう。
印刷済み喪中はがきは販売時期に注意
喪中はがきを自作せず、印刷済みのもの使用したい場合は、販売時期に注意が必要です。早いところでは秋頃から、郵便局では10月頃から印刷済み喪中はがきの販売が開始されます。販売開始時期を把握して、効率よく喪中はがきの準備を進めましょう。
喪中はがきを出す時に気を付けたいマナー
喪中はがきを出す時に気を付けたいマナーについて、以下の7つのポイントをご紹介します。
- 前文
- 句読点と行頭の一字下げ
- 宛名書き
- はがきと切手
- 文字色
- フォント
- 私信
前文は省略する
前文とは、「拝啓」「敬具」などの頭語や結語、季節を感じる時候の挨拶のことを指します。通常の手紙では前文・主文・末文の構成ですが、喪中はがきでは前文を省略します。こうしたルールは、喪中はがきに限らず、弔事に関わる手紙全てに適用されます。
句読点、行頭の一字下げは使わない
表彰状などの儀礼的な挨拶状では、句読点や行頭の一字下げを行わないとされています。喪中はがきも儀礼的な挨拶状の一つなので、句読点や行頭の一字下げは使用しません。
宛名は縦書きが無難
宛名に関して、縦書きにすべきといった厳格なルールはありません。しかし、はがきの表裏の向きは統一した方が良いこと、また、喪中はがきは厳粛な書面であることを考えると、宛名も縦書きにするのが無難です。
なお、宛名を手書きにする場合、ボールペンは万年筆の略式にあたるものなので使用は避けましょう。筆や筆ペンを使用すると丁寧な印象です。宛名面は薄墨ではなく黒で書きましょう。
【文例】返信メッセージ ~パターン別~
「喪中見舞い」「年始状」「寒中見舞い」は、いずれも自分の置かれている状況によって適する構成が異なります。喪中はがきに適切な返信をするためには、パターンに合う例文を参考にしましょう。
ここでは、下記のパターン別に構成、ルール、および例文をご紹介します。
喪中見舞いを送る場合
相手が喪中であることを知っている場合は、「喪中はがきのお礼」「ご遺族が寂しい新年を迎えることへの慰めと励まし」を伝えます。
喪中はがきが届いて初めて知った場合は、「喪中はがきのお礼」「不幸を知らなかったことに対するお詫び」「お悔やみと励ましの言葉」を記します。さらに香典を送る場合は、「香典の内容」「お供えしてほしい旨」も添えます。「年賀状遠慮の旨」を伝えても良いでしょう。
喪中見舞いを書く際は、以下の4つのルールを守りましょう。
- ①はがきと切手は喪中用のものを選ぶ
- ②忌み言葉や繰り返す言葉は使わない
- ③行頭の一文字下げはしない
- ④時候の挨拶・頭語は使わない
喪中見舞いの文例をご紹介します。
<喪中はがきが届く前から、相手が喪中であることを知っている場合>
このたびはご丁寧なご挨拶状をお送りいただき有難うございました。 ◯◯様が亡くなられてから◯ヶ月になり慌ただしさも一段落つかれた頃でしょうか。 少しずつ寂しさが和らげばと存じます。 服喪期間中でいらっしゃるため新年のご挨拶は控えさせていただきますが、 ◯◯様には穏やかで暖かい新春を迎えられますよう心よりお祈り申し上げます。
<喪中はがきが届いて初めて知った場合>
このたびはご丁寧な挨拶状をいただき誠にありがとうございました。 ◯◯様のご逝去を葉書をいただくまで何も知らず、 お悔やみのご挨拶も遅れてしまったことをお詫び申し上げます。 ◯◯様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 新年は服喪中でいらっしゃるのでご挨拶を控えさせていただきます。 書中ではございますがお悔やみ申し上げます。
<喪中はがきが届いて初めて知り、香典を送る場合>
このたび年賀欠礼のお知らせをいただき、大変驚いております。 ◯◯様ご逝去のことを少しも存ぜず、お悔やみも申し上げず失礼いたしました。 遅ればせながら、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。 心ばかりのものですが、◯◯(お供え品)を送らせていただきますので 御仏前にお供えいただければ幸いです。 ご家族様にはさぞお力落としのことと拝察いたしますが、 どうぞおだやかな新春を迎えられますよう、心からお祈り申し上げます。
年始状を送る場合
相手が喪中であることを知っている場合は、「新年の挨拶」「相手への気遣い」「励ましの言葉」を書きます。
喪中はがきが届いて初めて知った場合は、「新年の挨拶」「相手への気遣い」「不幸を知らなかったことに対するお詫び」「励ましの言葉」を述べます。
年始状を書く際は、以下の3つのマナーを守りましょう。
- ①年賀はがきは使わない
- ②「賀・慶・祝・寿」を含むお祝いの言葉を使わない
- ③句読点は入れない方が良い
なお、年始状では、通常の手紙と同じように黒書きが可能であり、近況報告や感謝の気持ちを書き加えても問題ありません。
年始状の文例をご紹介します。
<相手が喪中であることを知っている場合>
年始のご挨拶を申し上げます お静かに新年をお迎えのことと存じます 故人のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに 新しい年が○○様にとって穏やかな年でありますよう心からお祈りいたします 本年もどうぞよろしくお願いいたします
<喪中はがきが届いて初めて知った場合>
このたびはご丁寧なご挨拶状をいただきありがとうございました お手紙を拝見して初めてお父上様のご逝去を知りました 存じ上げず失礼いたしましたことをお許しください お悔やみ申し上げますとともにお父上様のご冥福を心よりお祈り申し上げます 喪中でいらっしゃいますので新年の挨拶は控えさせていただきます お気を落とされていることかと存じますが どうぞお体を大切に新しい年をお迎えになられますよう心よりお祈り申し上げます
寒中見舞いを送る場合
相手が喪中であることを知っている場合は、「喪中はがきのお礼」「不幸を知らなかったことに対するお詫び」「返信が今になったことのお詫び」「お悔やみ・励ましの言葉」を書きます。
相手が喪中であることを知らずに年賀状を出してしまった場合は、「喪中はがきのお礼」「不幸を知らなかったことに対するお詫び」「年賀状を差し上げたことへのお詫び」「お悔やみと励ましの言葉」を述べます。
寒中見舞いを書く際は、以下の3つのマナーを守りましょう。
- ①年賀状を連想する絵柄は避け、冬を連想させる絵柄を選ぶ
- ②喪中はがき用の切手を選ぶ
- ③嬉しいことの報告は避ける
寒中見舞いの文例をご紹介します。
<相手が喪中であることを知っている場合>
寒中お見舞い申し上げます ご服喪中のことと、年頭のご挨拶は遠慮させていただきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 私どもは元気に過ごしておりますので、ご安心ください。 ご家族がひとり欠けたこの冬は、寒さもひとしおと存じます。世間では流感が猛威をふるっておりますが、くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
<相手が喪中であることを知らずに年賀状を出してしまった場合>
寒中お見舞い申し上げます ◯◯様ご逝去のこと、存じ上げなかったとはいえ、新年のご挨拶を申し上げ大変失礼いたしました。 寒い日が続きますが、皆様お元気でお過ごしください。
喪中はがきを送る場合
喪中はがきを書く際は、「喪中につき新年の挨拶は控えさせていただく旨」「故人の情報」「故人がお世話になったことへの礼」「相手へのお悔やみの言葉」を書きます。
喪中はがきを書く際は、以下の5つのマナーを守りましょう。
- ①喪中はがき用のはがきと切手を使う
- ②前文は省略する
- ③句読点は入れない
- ④行頭の1字下げを行わない
- ⑤文字色は薄墨色を使う
喪中はがきの文例をご紹介します。
<相手から喪中はがきが届いて、こちらも喪中はがきを送る場合の文例>
今年はお互いに喪中となってしまいとても寂しい思いです 〇〇様のご冥福をお祈りしています
【コラム】年賀状で結婚報告をする予定だった場合:寒中見舞いで伝えよう
結婚報告をする場合は、年賀状を送るのは控え、寒中見舞いでシンプルに伝えましょう。喜ばしい報告でも、相手が喪中の際は、マナーを守って報告する必要があります。喪中の場合の結婚報告は、喪中である相手のことを優先しましょう。
寒中見舞いで結婚報告をする際は、以下の2つのマナーを守りましょう。
- ①写真を載せるのを控える
- ②詳細に報告するのではなく、「ご報告があります。結婚しました。」などとシンプルに一文添える程度に留める
まとめ
喪中はがきが届くと、どう対応していいか迷いがちですが、パターンをしっかりと把握して対応すれば問題ありません。相手が喪中であることを知っていた場合は「喪中見舞い」、喪中はがきで初めて知った場合は、「喪中見舞い」「年始状」「寒中見舞い」のいずれかを送ります。すでに年賀状を出してしまった場合は、「寒中見舞い」を送ってお詫びをしましょう。自分も喪中の場合は、相手にお悔やみの言葉を伝えるとともに、自分も喪中であることを伝える「喪中はがき」を送ります。どのパターンであっても、ポイントをきちんと押さえて対応することが大切です。きちんと対応して、個人へ哀悼の意を表し、ご遺族に失礼のないようにしたいですね。
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